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非破壊検査における超音波探傷試験で何がわかる?仕組みと計算式・波形解析を徹底解説

非破壊検査の現場で、「目視では確認できない欠陥を見逃していないか?」と不安を感じたことはありませんか?

 

特に超音波探傷試験は、高精度な内部欠陥の検出が可能な手法として広く採用されていますが、「本当に精度は十分なのか?」「どのような計算で結果が導き出されるのか?」といった疑問を持つ技術者も多いのではないでしょうか。

 

実際、日本非破壊検査協会(JSNDI)によると、超音波探傷試験の適用範囲は年々拡大し、溶接部・鋳造品・配管など、さまざまな分野で活用されています。しかし、その信頼性を高めるためには、波形解析や計算式の理解が不可欠です。

 

この記事では、「ビーム路程の計算式」や「波形の見方」、「欠陥サイズの推定方法」について、具体的なデータや公的機関の指標を基に徹底解説します。

 

この記事を最後まで読むと…

 

超音波探傷試験の計算式の基本が理解できる
・波形解析による欠陥の判別方法がわかる
・誤った判断を防ぎ、検査精度を向上させるポイントが学べる

 

もし、あなたが「より正確な非破壊検査を行いたい」「計算や解析の知識を深めたい」と考えているなら、今すぐ本文をチェックしてみてください。

 

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大分N.D.T株式会社では、非破壊検査のプロフェッショナルとして多くの実績を積み上げてきました。当社は、技術力を重視し、安全性や品質管理の分野で社会に貢献しています。未経験からでも始められる充実した研修制度と資格取得支援を用意し、確かなスキルを身につけられる環境です。社員一人ひとりが成長を実感できる職場で、新たな挑戦をしてみませんか?共に未来を創る仲間を心よりお待ちしております。

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住所 〒870-0919大分県大分市新栄町13−1
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非破壊検査における超音波探傷試験とは?

非破壊検査と超音波探傷試験の基本

 

非破壊検査(NDT)は、対象物を破壊することなく内部の欠陥や異常を検出する技術であり、さまざまな業界で活用されています。その中でも超音波探傷試験(UT)は、材料の内部欠陥を高精度に検出する手法として広く利用されています。

 


非破壊検査とは?主な種類と適用分野
非破壊検査には以下のような種類があります。

 

検査方法 主な用途 特長
超音波探傷試験(UT) 溶接部、金属部品、配管 内部欠陥の検出に優れる
放射線透過試験(RT) 配管、鋳造品、金属部品 X線・γ線を使用し内部を可視化
磁粉探傷試験(MT) 鋼材、鉄骨、エンジン部品 表面および近表面の欠陥検出
浸透探傷試験(PT) アルミ、ステンレス、プラスチック 表面の微細な欠陥を検出
渦流探傷試験(ET) 航空機部品、熱交換器チューブ 導電性材料の表面・近表面の欠陥検出

 

これらの中で、超音波探傷試験は特に汎用性が高く、幅広い材料や構造物に適用できます。

 


超音波探傷試験の原理(超音波の伝播と反射)
超音波探傷試験は、高周波の超音波を試験体に送信し、内部の反射波を解析することで欠陥を検出する。基本的な流れは以下のとおりです。

 

  1. 送信: プローブ(探触子)から超音波を発生させ、試験体に送る。
  2. 伝播: 超音波が試験体内部を伝わり、材質や欠陥による反射や減衰を受ける。
  3. 受信: 反射波を受信し、波形を解析して欠陥の有無や大きさを判断する。

 


超音波探傷試験の歴史と発展
超音波を利用した探傷試験は20世紀初頭に開発され、特に航空機産業や造船業で普及しました。現在では、コンピュータ解析技術やAIを活用した高度な欠陥識別が可能になり、より正確な検査が実施できるようになっています。

 


超音波探傷試験のメリットとデメリット

 

メリット デメリット
非破壊での検査が可能 専門的な訓練が必要
即時の欠陥検出が可能 材質によっては超音波が減衰する
幅広い材料・構造物に適用可能 設備のコストが高い場合がある

 


超音波探傷機器の導入コストが高いため、レンタルサービスを利用するのも一つの選択肢であり、機器の選定には、使用環境や検査対象を考慮することが重要です。

 

超音波探傷試験の手法と種類

直接接触法 vs 水浸法の違い

 

超音波探傷試験(UT)は、対象物の内部の欠陥を検出するための非破壊検査手法であり、使用する媒質の違いにより「直接接触法」と「水浸法」の2種類に分類されます。それぞれの特徴と違いを理解することで、適切な検査方法を選択することができます。

 

比較項目 直接接触法 水浸法
使用環境 野外・現場作業に適用 研究室・製造ライン向け
超音波伝達方法 探触子を直接試験体に押し当てる 水を介して超音波を伝達
測定精度 手動操作のため測定精度にばらつきが出ることがある 均一な伝播が可能で精度が高い
適用対象 大型構造物・溶接部 小型部品・精密部品
欠点 接触不良による信号の乱れが生じやすい 設備が必要でコストがかかる

 

直接接触法は、ポータブルな超音波探傷装置を使用するため、現場での迅速な検査が可能すが、測定精度はオペレーターの技術に依存します。一方で、水浸法は、高精度な測定が可能すが、試験環境が限られます。

 

フェーズドアレイ超音波探傷法(PAUT)とは?

 

フェーズドアレイ超音波探傷法(PAUT: Phased Array Ultrasonic Testing)は、従来の超音波探傷試験と比べて、高精度かつ短時間で広範囲を検査できる手法です。

 

PAUTの特徴

 

 

 

 

  1. 複数の振動子を持つプローブを使用
    • 通常の探傷試験では単一の振動子が超音波を送信・受信するが、PAUTでは複数の振動子(エレメント)が独立して動作するため、検査範囲が広がる。
  2. ビームの制御が可能
    • 超音波の入射角や焦点深度を電子的に制御し、異なる方向・深度をリアルタイムで検査できる。
  3. 画像表示による可視化
    • Bスキャン・Cスキャンを用いることで、欠陥の位置や形状を明確に可視化できる。

 

PAUTの主な用途

 

用途 詳細
溶接部の検査 溶接の欠陥(割れ・ブローホール)をリアルタイムで解析
航空機・自動車部品の検査 軽量・高強度な部品の内部構造を評価
配管・タンクの腐食測定 配管の減肉状態を正確に測定

 

PAUTは、高精度でデータ解析が容易なため、高品質管理が求められる業界で導入が進んでいる。

 


斜角探傷法(ビーム路程と欠陥の検出)

 

斜角探傷法は、超音波を試験体に対して一定の角度で入射させる手法であり、主に溶接部や接合部の欠陥検出に使用されます。

 

斜角探傷法の基本原理

 

  1. 斜角プローブを使用し、超音波を斜めに入射
  2. 超音波が試験体内で反射し、欠陥がある場合に波形の乱れを検出
  3. 波形データを解析し、欠陥の位置・形状を特定

 

斜角探傷法の利点と課題

 

項目 内容
利点 - 溶接部の割れや溶け込み不良の検出に適している - 試験体の表面状態に左右されにくい
課題 - 角度調整が必要で、オペレーターの熟練度が影響 - 複雑な形状の検査には向かない

 

斜角探傷法は、特に溶接の品質管理において重要な役割を果たし、非破壊検査の中でも精度の高い手法として知られています。

 


表面欠陥と内部欠陥の検出技術

 

超音波探傷試験では、表面に生じる欠陥(クラック・ピット)と、内部に隠れた欠陥(ボイド・スラグ)を検出できます。

 

表面欠陥の検出技術

 

  • 浸透探傷試験(PT): 蛍光染料を用いた表面の微細なひび割れ検出
  • 磁粉探傷試験(MT): 磁性体の表面に微細な鉄粉を付着させることで、欠陥を可視化
  • 超音波表面波探傷(Rayleigh波): 表面波を利用して極めて浅い表面欠陥を特定

 

内部欠陥の検出技術

 

  • 超音波透過試験: 超音波の減衰・反射を解析して内部の空隙を検出
  • フェーズドアレイ超音波(PAUT): 画像化技術を用いて内部欠陥の形状を分析
  • 放射線透過試験(RT): X線やガンマ線を使用し、材料内部の欠陥を画像化

 

このように、超音波探傷試験は、表面および内部の欠陥を検出するための重要な技術であり、目的に応じて適切な手法を選択する必要があるのです。

 

フェーズドアレイ超音波(PAUT)とTOFD技術の違い

 

フェーズドアレイ超音波(PAUT)とTOFD(Time of Flight Diffraction)は、どちらも高度な超音波探傷試験技術ですが、それぞれの特徴と用途に違いがあります。

 

項目 PAUT(フェーズドアレイ) TOFD(時間差回折法)
原理 超音波ビームを電子的に制御し、多角度・多深度で検査 回折波を利用して高精度に欠陥の形状を解析
適用対象 一般的な非破壊検査、広範囲の欠陥検出 高精度な溶接検査
欠陥の特定 位置・大きさを視覚的に表示 深さ・形状の測定に優れる
解析精度 高い解像度で詳細なイメージが得られる 欠陥のサイズ測定が容易

 

PAUTは、複雑な構造物や溶接部の検査に適しており、リアルタイムでのデータ解析が可能です。一方、TOFDは、より高精度な欠陥の深さ測定や形状解析を得意とし、特に溶接部の高品質管理に不可欠な技術とされています。

 

超音波探傷試験の技術は、進化し続けており、さまざまな手法を組み合わせることで、より精度の高い非破壊検査が可能となります。それぞれの技術の特徴を理解し、適切に活用することで、安全性と品質の確保が実現できるのです。

 

超音波探傷試験の計算式と波形解析

ビーム路程の計算式とその適用

 

超音波探傷試験において、ビーム路程(Beam Path) は、超音波が試験対象物(ワーク)内でどのように伝搬するかを示す重要な要素です。特に、斜角探傷法 やフェーズドアレイ超音波探傷(PAUT) などの技術では、ビーム路程の計算が正確な欠陥検出に不可欠です。

 


ビーム路程の基本計算式

 

ビーム路程は、音速、入射角、屈折角、および試験対象物の材質に応じて異なります。一般的なビーム路程の計算は、スネルの法則 を用いることで求められます。

 

sin⁡θ1/V1=sin⁡θ2/V2\sin \theta_1 / V_1 = \sin \theta_2 / V_2

 

  • θ1\theta_1 : 超音波プローブの入射角
  • V1V_1 : 超音波が通過する媒体(通常はカプラントや水)の音速
  • θ2\theta_2 : 試験対象物内の屈折角
  • V2V_2 : 試験対象物内の音速(例: 鋼の場合、約5900 m/s)

 

実際の適用例

 

例えば、鋼材に対して水浸法を用いた超音波探傷試験 では、プローブから水を介して超音波が鋼材内部に入射し、屈折・反射しながら伝搬します。この際、スネルの法則を利用して、正確な探傷角を計算し、欠陥の位置を特定します。

 


波形の見方と欠陥の識別

 

超音波探傷試験では、エコー信号 を解析することで、欠陥の有無を判断します。特に、Aスキャン波形の解析は、欠陥の大きさや深さの評価に欠かせません。

 


波形解析の基本

 

波形には以下の3つの主要なエコーが存在します。

 

エコーの種類 役割
入射エコー プローブから超音波が送信された際の基準点
底面エコー 試験対象物の裏面で反射されたエコー
欠陥エコー 材料内部の欠陥からの反射エコー

 


欠陥の識別

 

欠陥の種類によって、波形に異なる特徴が表れます。

 

欠陥の種類 波形の特徴
割れ(クラック) シャープなエコーが発生し、底面エコーが弱くなる
介在物(スラグ) 底面エコーは維持されるが、ノイズが増加
疲労破壊 底面エコーが減衰し、不規則なエコーが発生

 

このように、波形のパターンを解析することで、欠陥の種類を特定し、材料の健全性を評価できます。

 


受信信号の特性とエコー解析

 

超音波探傷試験における受信信号の解析は、信号処理技術 を活用し、精度の高い検査を可能にします。

 


信号の特徴

 

受信信号には、以下の特性があります。

 

  1. 振幅(Amplitude) : エコーの強さを示し、欠陥の大きさを推定する際に使用
  2. 到達時間(Time of Flight, TOF) : 超音波が送信されてから反射されるまでの時間
  3. 周波数スペクトル : 超音波信号の周波数成分を示し、異なる材質の影響を評価

 


エコー解析による精度向上

 

フェーズドアレイ超音波探傷法(PAUT) を利用することで、異なる角度からのエコーを統合し、高解像度のイメージングを実現できます。これにより、従来のAスキャンに比べ、欠陥の形状や位置をより詳細に把握することが可能です。

 


波形解析による欠陥サイズの推定方法

 

波形解析によって、欠陥の深さ や 長さ を推定することができます。

 


欠陥サイズ推定の計算式

 

欠陥の深さ d は、次の式を用いて計算されます。

 

d=V×t2d = \frac{V \times t}{2}

 

  • VV : 試験対象物の超音波伝播速度(例: 鋼の場合、5900 m/s)
  • tt : 超音波の往復時間

 

また、欠陥の幅 は、振幅減衰法 を用いることで求められます。エコーの振幅が一定の基準値以下になる範囲を測定し、欠陥の大きさを推定します。

 

実際の適用例

 

例えば、溶接部の非破壊検査 では、超音波探傷試験によって、溶接内部のポロシティ(気孔)やクラックの大きさを測定し、溶接の品質を判定することが可能です。

 

超音波探傷試験における計算式と波形解析 は、精密な欠陥検出を実現するための基礎技術です。ビーム路程の計算、波形の特徴解析、受信信号の解析、欠陥サイズの推定といった要素を統合することで、より高度な非破壊検査が可能となります。特に、フェーズドアレイ超音波(PAUT)やTOFD技術 を組み合わせることで、さらなる精度向上が期待できます。

 

まとめ

超音波探傷試験は、非破壊検査の中でも高精度な欠陥検出が可能な技術です。特に溶接部や鋳造品、配管の検査に広く用いられ、目視では確認できない内部欠陥を効率的に発見できます。しかし、正確な結果を得るためには、計算式や波形解析の理解が欠かせません。

 

本記事では、超音波探傷試験のビーム路程の計算式、波形の見方、エコー解析、そして欠陥サイズの推定方法について詳しく解説しました。これらの知識を身につけることで、誤った判断を防ぎ、より高精度な検査が可能になります。

 

例えば、ビーム路程の計算は、探触子の角度や音速を考慮して欠陥の正確な位置を求めるために重要です。また、波形解析では、信号の振幅や反射時間を分析し、内部の異常を特定することができます。さらに、エコーの特性を理解することで、欠陥の形状や深さをより正確に把握できるようになります。

 

超音波探傷試験は、適切な知識と技術を習得することで、より確実な結果を得られます。「なんとなく検査を行う」のではなく、理論を理解した上で実施することが、精度向上のカギです。 本記事で得た知識を活かし、安全で信頼性の高い検査を実施してください。

 

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大分N.D.T株式会社では、非破壊検査のプロフェッショナルとして多くの実績を積み上げてきました。当社は、技術力を重視し、安全性や品質管理の分野で社会に貢献しています。未経験からでも始められる充実した研修制度と資格取得支援を用意し、確かなスキルを身につけられる環境です。社員一人ひとりが成長を実感できる職場で、新たな挑戦をしてみませんか?共に未来を創る仲間を心よりお待ちしております。

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よくある質問

Q. 超音波探傷試験と放射線透過試験の違いは何ですか?
A. 超音波探傷試験と放射線透過試験(RT)は、どちらも非破壊検査の一種ですが、原理や適用範囲に大きな違いがあります。超音波探傷試験は超音波の反射を利用して欠陥を検出する手法で、溶接部・配管・金属部品の内部欠陥検査に適しています。一方、放射線透過試験はX線やガンマ線を利用して内部の状態を可視化するため、溶接部や厚みのある金属部品の内部構造を詳細に分析するのに適しています。一般的に、超音波探傷試験は放射線透過試験より低コストで迅速な検査が可能ですが、複雑な形状の部品や精度を求める検査には放射線透過試験が有利です。

 

Q. 超音波探傷機器は購入とレンタルのどちらがお得ですか?
A. 超音波探傷機器の価格は種類によって異なります。頻繁に検査を行う場合や、特定の仕様が求められる場合は購入が適していますが、短期間のプロジェクトや初めて導入する企業にはレンタルが有利です。機器の保守・点検コストを削減できるメリットがあり、最新モデルを試すことも可能なため、導入前にレンタルで試してみるのも一つの選択肢です。

 

会社概要

会社名・・・大分N.D.T株式会社
所在地・・・〒870-0919 大分県大分市新栄町13−1
電話番号・・・097-574-8264